危急存亡の秋 起死回生を願って

関東空調工業会 総務委員会

 長引く経済不況やゼネコンからの安値受注を理由に下請を買い叩き、利益をあげることが当然と考えている得意先が多い。お互い平等な立場で契約交渉が出来ないものであろうか。「共存共栄」とか、「共生」を謳いあげ、協力関係にあるものと考えれいた我々にとってじつに残念な事である。総務委員会は会員の意見をまとめるべく懇談会を計画した。懇談会は最初に得意先の経営数字の説明が行われ、その後、幾つかのテーマについて忌憚のない意見交換をした。事前の準備がしっかりしており、司会の適切な進行により、会議は長時間に亘ったがスムーズに、和やかに進められた。


1.最近のサブコンの実績
 資料を基に、現状の背景として建設業の現況や得意先企業の経営分析を行った。


(1)今の日本経済は…
(a)「景気は悪化している。」(7月の月例経済報告)
(b)経済再建のために構造改革が必要である。構造改革とは資本と人材を生産性の低い分野から高い分野に異動する事である。建設業と流通業が一番遅れていると言われ、問題となっている。
c不良債権の処理を2~3年で行う。11.7兆円以上、実際は「要注意」を含めると110から150兆円のあると言われている。
(d)その痛みとは、失業者が現在の380万人から500万人に増え、完全失業が4.6%から6%に増えている事である。新たな雇用対策が急がれている。建設業界がもっともその影響をうけると思われるが、特に末端は厳しい。

(2)設備業界は…
 ゼネコンは勿論だが、設備業界の今後ますます悪化し、勝ち組と負け組みがはっきりして来る。資料によると、2001年3月期は手持ち工事の消化で営業利益が増収となっている会社もあるが、本業の収益力の指標である売上高営業利益率は前期実績を下回り、軒並み低下している。設備業界の今後の減益傾向はやむを得ない。今までが良すぎたのだ。半導体製造工場向けクリーンルームの受注落ち込みに加え、各社とも受注競争激化による単価の下落も利益率の圧迫要因となっている。
 今後、新会計法の採用により、年金や株券、運用資産などの評価替えにより特別損を出すことになる。これを消化するには基本的に営業利益が出ないと考えられない。一層予算管理が厳しくなる。しかし、一部を除き大半の得意先は損益も財務もまだまだ良い。
 ダクト業界は昨年後半より
(a)専門工事業イノベーション戦略会議の講習会開催(現状の認識)
(b)パネルディスカッション「元・下関係の正常化、施工と契約について」(結束と協調)
c主体ダクト業者による懇談会 第1回(大型現場の見積り状況の情報交換)
(d)主体ダクト業者による懇談会 第2回(契約状況の情報交換 結束と協調の再確認)
このような業界としての努力にも拘わらず、施工の責任に対する正しい対価がなかなか認められず、相変わらずの安価な指値が続いている。


2.懇談内容
 建設工事は専門技術の集合体であり、その技術も多重多様である。ダクト工事業と言えども同様で、同じような商品(工事)がないので比較・検討ができなし。しかし、我々は積み重ね原価を基に、施工に対する適正な対価を求めており、それを適正価格と呼んでいる。それは我々が企業として健全に存続する事が出来る価格と考えている。元請の意思や市場原理を無視し一方的に値戻しを考えているわけではない。
 今回の大型現場の集中施工は一部の得意先に偏っているので、得意先により温度差があるが、現状の市場価格は元請が決めるものと考えられており、我々と設備元請が公平な立場で話し合う場もなく、ましてや、現状契約は一方的なサブコンペースで決められており、今回のような懇談会を開催し情報を交換していなかったら、もっとひどい状況になっていたと思う。現在の元請には施工の対価にふさわしい値戻しは期待できないのではないだろうか。



今が「値戻し」する最後の機会である
 我々は、品質の高い製品を作り施工を行い、一方、その適正な対価を求めているのである。
 しかし、対価は正しく評価されない、しかも、得意先の方から改正する事は先ず考えられない。声を大にして言いたい。


耐え忍んできた我々にはこれ以上の我慢は無理である
(1)何故最後の機会と考えるのか

(a)建設業界は今より厳しくなる。
(b)ミニバブルの状況は需要と供給の関係から考えると、専門工事業者の我々にほんの少しだが有利である。今までは価格決定において平等ではなく、常に重曹の末端でハンデを負い、安値な指値受注に甘んじてきた。
cダクト業者は今まで安値受注を余儀なくされ、耐え忍んで来ており、生き残っている者でも相当体力が落ちている。それに比べサブコンは利益減少の傾向にあっても充分体力があり、まだまだ我々の値戻しを受け入れられる余力を持っている筈である。
 今、我々が協調し適正価格に「値戻し」をしなければ企業の存続は難しい。このミニバブルは値戻しの最後の好機である事が一層はっきりして来る。ここ2~3年は小異を捨て大同につく事で全員が結束し協調する事が重要である。
●適正価格に値戻しする。それにはお互いに情報を交換し、安値受注を手控える。
●企業として生き残る基盤を見出さなければならない。
●ダクト業が衰退産業となるかならないかの重要な時である。
●この機会を除いて値戻しする機会はまずない。
●この機会を逃しては今後の業界の存続は考えられない。


(2)会員間の生産と施工協力の問題 提携の推進
 一方、受注後におけるダクト工の需給や我々自身の非効率的な企業経営も考える必要がある。受注後の施工についても、お互い情報を交換し生産性の高いものにする努力が望まれる。一言で言えば、出来るところから提携し、お互い切磋琢磨しながら進みたい。
 現実に製作、運搬(地域業者との協力)、施工協力、共同購入等協力のメリットは考えられなくはない。
 原価低減は永遠のテーマであり、我々は今後も受注現場の施工にあたり、お互い協力できることが無いか、常に関心を払う必要がある。将来建設業は全員が生き残れない状況では、何時かはお互い手を結ばなければならない時が来る。もうそのときが来ている。
●話し合い、そして協調してできるのは会員しかいない。
 この機会に話し合える同士は提携を考えてもいいのではないか。自分だけが生き残ろうとする独自路線を進もうとしている会社は結果的には成功しない。このミニバブルのこの期間だけでも協調すべきである。
 昨秋から一連の大型工事受注に関する我々の対応について、一堂に会して協議を重ねてきた。
●今回の適正価格への値戻し活動は「経営基盤の再構築」を図るまたとない機会である。
 今日のような懇談会は、ミニバブル時の値戻しや施工協力に限らず、将来縮小される建設業界の流れを考えると、今後とも計画し実施されるべきと思う。
 長時間に亘る懇談会であったが、有意義な会であった。

 ≪余談≫
 起死回生の期、関東の一隅に集いし会員の真実の声をまとめた。全国同業者の一助にでもなれば…と考え、寄稿してみた。

《第25号》 2001発行


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