| 業界団体の新しい役割 (社)日本空調衛生工事業協会 顧問 渡辺 茂(前専務理事)
この7月に建設省から「専門工事業イノベーション戦略」が公表されました。その内容は専門工事業にとって大変参考になるものです。例えば、総合工事業の外注割合が7割を超えていることは建設工事の生産システムが以前とは変わってきているということ、専門工事業は専門性を生かし隣接部分、関連部分を含め総合化を考えなければならないことなど、新しい指摘があります。特に、業界団体の新しい役割が記載されているのは特徴的なことです。
ここ10年程、独占禁止法違反、汚職問題などで建設業への信頼が薄れ、その業界団体への評価も低下しておりましたし、また規制の中で護送船団の一翼を果 たしてきた業界団体は規制緩和とともに消滅していくと言われてもいました。
平成7年に建設省で作成されてた「建設産業政策大綱」には、業界団体については何も記載されていません。この頃、業界団体の公的なことについての期待は難しかったのでしょう。
この度の「専門工事業イノベーション戦略」には、業界団体が業界の発展のため公的役割を果 たし、業界の健全な発展のために新たな役割を果たすことが期待されているのです。「戦略」には企業が努力し、創意を尽くすべきことが述べられていますが、業界団体としてもこれに協調、助成するのは当然ですから、特別 に業界団体の役割とすることには重要な意味があるのです。 次にその幾つかを例示いたします。
● 団体として、品質向上のためのマニュアルの作成、推奨すべき資格や暇疵保証制度の構築に努める。
● ペーパーカンパニーなど不良・不適格業者の排除について、行政・業界が共同して排除に努める。
● 業界団体においても経営者の自己啓発、知識習得、意見交換、情報取得等のための機会を恒常的に提供することが必要である。
● 業界団体と行政は建設労働者に係わる適正な情報システムのあり方について検討を進めるとともに、現在、建設業における技能労働者について禁止されている労働者派遣事業、有料職業紹介事業につても技能労働者の就労実態等を踏まえながら、その是非を含め十分に検討する必要がある。
● 業界団体が行う企業経営者の研修会にコスト管理能力を高めるような研修を取り組む必要がある。
「戦略」には上記のほかに「業界団体の役割」という章を設けて、業界団体の指導的役割の重要性、情報機能の強化、組織の効率化について具体的に記載されている。
業界団体は、業界の企業が集まって、企業には出来ないが団体なら出来ること、公共性のある事業、業界の地位 向上に関する事業などを行ってきました。その長年の実績が評価され、今日業界団体への大きな役割が期待されていると存じます。
これを機会として、更に業界団体の公的な事業を強化し、併せて業界の地位 向上に努めるべきでしょう。このような業界団体の役割を、企業はよく理解し、団体に参加することは勿論、活動に協力するのは業界の一員である以上当然な事と考えております。 |